尾木ママ、フィギュアスケートファン歴40年の熱い思い「生観戦が一番」 (4ページ目)

  • 辛仁夏●取材・文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

――4回転アクセルを成功させたら、羽生選手は現役を辞めると思いますか?

 羽生選手は「世界で誰よりも早く、公式戦で4回転アクセルを決めたい」と話し、先日の世界選手権の後の記者会見でも「僕にとって最終目標はオリンピックの金メダルではなく、4回転アクセルを成功すること」と言っていましたが、彼のこれまでの発言を振り返ると、例え4回転アクセルを跳んでも、また何か新たな目標を立てそうな予感がしますね。

 羽生選手の言葉ですけど、「やめる、やめないじゃなくて、4回転半を跳べないと一生、満足できない」と言っていますね。そして「あと8分の1」回れれば立てるとも。もしかすると降りたときの感覚、達成感を味わったら、またやめられなくなるかもしれないですね。「次は5回転だ」と(笑)。

――羽生選手が現役を続ける中、北京五輪を控える来季に向けて楽しみなことはありますか?

 全日本で10カ月ぶりの滑りを見せてくれましたが、(演技の)深まり方や(プログラムの)完成度の確かさは、これまでにないほどすばらしかったです。「コーチとも直接会えず、リモートでしか見てもらえない、振付も自分で考えないといけない部分のなかで、自分としっかり向き合わなければいけなかった」と言っていましたが、自発的に取り組んで、近くで自分を指導してくれるコーチがいなくてもプログラムを創り、完成度を高め、内容を深めていけるという自信につながったようですね。

 それでも、「ひとり取り残されて、暗闇の底まで落ち込んで行くような感覚があった」とも言っていました。その精神的な苦闘を経験して、彼は一回りも二回りもこれまでとは違うたくましさや、技術面でもある種の突破口を掴んでいるはずなので、羽生くんが思い描く完璧な4回転アクセルを心から楽しみにしていますし、期待しています!

Profile
尾木直樹(おぎ・なおき)
滋賀県出身。教育評論家、法政大学名誉教授。主宰する臨床教育研究所「虹」では教育や子育てに関する調査・研究、評論活動を行なう。「尾木ママ」の愛称で親しまれ、情報番組からバラエティまでさまざまなメディアで活躍中。著書も多数。

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