2021.04.07

安藤美姫が読み解く世界選手権女子シングルの傾向。基礎の美しさは不変

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko

 3月24日からスウェーデンのストックホルムで開催された世界選手権。女子はロシア勢が表彰台を独占し、旋風をおこした。表彰台を逃した日本勢は、北京五輪出場枠を最大の3枠獲得することができたものの、課題も残った。

 今回の世界選手権女子シングルの総括と、今大会の傾向から考える来季への日本人選手が進む道のりをプロフィギュアスケーターの安藤美姫さんに聞いてみた。

シニアらしい演技で表彰台に返り咲いたトゥクタミシェワ photo by Taguchi Yukihiro 今回の世界選手権では、全体的にレベルが上がっていると感じました。ロシア勢は、3選手ともショートプログラム(SP)、フリープログラム共に高難易度のジャンプを組み込んで演技を見せてくれました。そういった意味では、レベルがひとつ上を行っているのかな、と。そこに強豪国の日本とアメリカがどれだけ食いついていけるかに注目していました。

 今回、日本は少し残念な結果になってしまいましたが、紀平梨花選手は本来、SP、フリーでトリプルアクセルを入れられる実力がある選手。ロシアの若い女子選手たちも4回転を何種類もプログラムに入れてきていることは本当にすごいことですし、見ていてもワクワクしますね。

 3位のアレクサンドラ・トゥルソワ選手(ロシア)は、今回ミスはありましたが、複数の種類の4回転を5本入れています。シニア2年目で身長もぐんぐん伸びているので、身体の変化に合わせて調整しているというのはシーズンを通して感じていました。公式練習などでは去年より質のいい4回転ルッツなどを跳んでいると思って見ていたので、自分とうまく向き合ってトレーニングできているなと思いました。

 同時に、私個人としてはシニアスケーターに対して、もっと大人っぽい表現や、質のいいスケートにも注目してほしいと思っています。今回2位になったエリザベート・トゥクタミシェワ選手(ロシア)は、まさにそういった大人の表現が際立っていましたね。個人的には彼女が世界選手権の表彰台に返り咲いたことは、そういった質の高さが評価されたのかなと思っています。