安藤美姫が読み解く世界選手権女子シングルの傾向。基礎の美しさは不変 (2ページ目)
フィギュアスケートは、ジャンプなどの技術的な点数となるTES(テクニカルコンポーネンツスコア)だけでなく、スケーティングの質などの点数となるPCS(プログラムコンポーネンツスコア)も重要となってきます。
さらに、技術点にはGOE(出来ばえ点)がプラス5からマイナス5までつくようになりました。同じ構成でも点数を広げるには、どれだけ質のいいものを実施し、プラス評価を加点できるかが現在の採点システムでは重要となってきます。
優勝したアンナ・シェルバコワ選手(ロシア)は、練習では調子が上がらない様子でした。本番では4回転を1本入れてきましたが、それ以降は無理に4回転を入れず、3回転ルッツ+3回転ループなどの自分ができる最大限のことを発揮したことが結果につながったのかなと思います。
日本勢に関しては、紀平選手はタイムスケジュールや本番リンクと練習リンクの氷の違いなどの調整が難しかったとコメントしていましたが、今回のことがいい経験となったのではないでしょうか。この経験を糧に、さらに強くなっていって欲しいですね。
坂本花織選手はオーバーターンの小さなミスで抑えて、自分の力を発揮しました。そこはやはり平昌五輪を経験されていますし、日本代表として北京五輪の枠取りにも貢献しました。彼女の場合は精神面というよりも、技術面。今の女子のトップ3に食い込むためにはトリプルアクセルは必須かなと思います。
また、ジャンプの加点は多いのですが、ジャンプやステップなどはまだ伸びしろがあります。トップの選手は細かい部分まで綺麗なんですね。スピンのポジションやジャンプの着氷後のフリーレッグなど、ただそのポジションをとっているだけでも指先からつま先まで綺麗なポジションになっている選手が多いんです。坂本選手もそういったところが強化されると、もっと世界で評価を得られる選手だと思っています。
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