安藤美姫が読み解く世界選手権女子シングルの傾向。基礎の美しさは不変 (3ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko

 宮原知子選手はやはりジャンプが回転不足を取られたりする部分が見受けられるので、そこがうまくはまってくれれば。PCSは文句なしに高い評価を受けている選手なので、ジャンプの強化ができれば来年の五輪代表入りは確実なのではないでしょうか。さらに、高難易度のジャンプを後半に入れられるくらいの自信をつけていくと、五輪でのトップ争いにも食い込めるのではと思っています。

 今大会を総括すると、フィギュアスケートはやはりジャンプだけでなく音楽に合わせた表現や、昔からあるように一つひとつのポジションを美しくとるという部分も大切に引き継がれているのかなと思います。やることも多く、レベルも気にしなくてはいけないルールにはなっていますが、昔ながらの洗練されたフリーレッグの美しさなどが映える滑り、基礎の美しさは変わらないのかなと感じています。

 今回表彰台を独占したロシアの選手たちは、そのどちらも備わっているから強い。ジャンプだけが注目されがちですが、3人ともジャンプに加えて美しさも備わっているからこその結果だと思っています。

 そして、カレン・チェン選手(アメリカ)、ルナ・ヘンドリックス選手(ベルギー)はトリプルアクセルや4回転はないけれど、ショートとフリー共に洗練された滑りとトータルパッケージ(音楽、振付け、技術、表現などすべて、高いレベルで揃っていること)に近い演技でトップに迫りました。

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