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羽生結弦が「観客」に伝えたい思い。フリーへ向けてふくらむ期待 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

リラックスした気持ちでSPに臨めたという羽生結弦リラックスした気持ちでSPに臨めたという羽生結弦「今回は(無観客開催で)お客さんがいなくてコネクトするのは難しいですが、一つひとつの振り付けにもお客さんにつながるようなものが多い。このプログラムの魅力だと思います」

 羽生はそう語った。その思いを、観客席にはいない、テレビ越し、インターネット越しの人たちに感じ取ってもらうために、何ひとつ欠けない流れのある演技にしなければならない。それが、羽生が世界選手権に来た意味だった。

 心の中にある思いの強さが、羽生を緊張させた部分もあっただろう。だが、その硬さも最初の4回転サルコウを決めた後にはほぐれ始め、次の4回転トーループ+3回転トーループをきれいに着氷。後半のトリプルアクセルも3.54点の加点を取る、大きさがあるジャンプにした。

 全日本選手権で0点と判定された足替えフットシットスピンも丁寧にこなしてレベル4。ステップシークエンスはキレとメリハリのある滑りで、最後はコンビネーションスピンで締めくくった。ノーミスの演技に、羽生は気持ちを抑えながらも、納得の表情を見せた。

「全日本よりリラックスしているところもあり、逆に緊張しているところもありました。もっとよくできたところは多々あると思うけど、演技内容自体は満足しているし、今日は今日で出し切れました」

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