2021.03.27

鍵山優真、2位発進から偉業達成へ。海外メディアにも堂々の受け答え

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihiro

 今季シニアデビューした日本男子の新星・鍵山優真が初舞台の世界選手権で躍動。一気にその名を世界にアピールした。

 25日に行なわれたショートプログラム(SP)で、鍵山は堂々たる落ち着きで、ミスのない演技を披露。自己ベストを更新する100.96点で、首位に立つ羽生結弦と6.02点差の2位発進となった。自身初となる100点超えは、男子SP史上8人目となる快挙だ。

「現地に入ってからの練習で、調整が難しかったんですけど、試合本番はそんなことは何も考えずにできたのでよかったです。本当に自分が滑りたいように、やるべきことをやったうえで自由に伸び伸び滑れました。初めての世界選手権で、初めて父(正和コーチ)と海外(の大会)に来ることができてよかったですし、そこでいい演技ができて、自分もうれしいし、父も喜んでくれてよかったです」

自己ベストを更新する高得点でショートプログラム2位発進となった影山優真 アジアの民族衣装をイメージしたというコスチュームを新調して、4度の世界選手権出場経験のある父親の前で見せた演技は、気合いも十分だった。前回の四大陸選手権でマークした91.61点の自己ベストを大きく上回る高得点が出た瞬間、キスアンドクライに座った鍵山は右手を高々と突き上げてから、両腕を体の前に突き出すガッツポーズでうれしさを爆発させ、親子そろって喜びをかみ締めた。

「(初めての世界選手権で)緊張してガクガクになるんじゃないかと本当に思ったんですけど、案外、そんなことはなくて、実際は緊張よりも『早く演技がしたい』という楽しみのほうがすごく大きかったです。緊張はするんですけど、悪い緊張をしなくなったのが、自分のひとつの成長ポイントだと思っています。

 とにかくノーミスすることを一番の目標にしてきたSPの演技は、練習どおりひとつひとつこなせてよかったですし、そのうえで100点の点数がついてきたので、自分でも言うことはないほど、すごくよかったんじゃないかなと思います」

 SPの演技直前、リンク中央に向かう鍵山の表情はかなり緊張しているように見えた。だが、音楽が始まるとすぐにスイッチが入り、目を見開く表情と踊り出しで見る者を惹きつけ、鍵山の世界に引き込んだ。五輪メダリストを輩出している著名な振付師のローリー・ニコル氏が手がけたSP『ボーカッション~Vocussion~』をひっさげての世界デビューである。