逆境を乗り越えた宇野昌磨のスケートの本質。期待したい笑顔の行方 (4ページ目)
逆境を覆す。それはアスリートにとって物語の軸になるし、人の心を掛け値なしにつかむ。過去3大会の全日本だけでも、宇野はさまざまな形でそれを実現してきたのだ。
フリー後のキスアンドクライ、ランビエールコーチは隣に座った宇野に向かって、「不穏な状況にもかかわらず、よく自分をコントロールできていた」と演技を激賞していた。
「Peaceful」(穏やかで、安らかな)
ひと言でそう総括し、たしかに幸福なスケーティングだった。
「英語での会話は、イエスとかノーとか、自分のわかる単語を並べているだけですが。ステファン(・ランビエール)が理解してくれるので。たとえうまく伝わっていなくても、伝えたい気持ちは、何かしらで伝わっているかなと思っています」
宇野は弾む声で言った。感覚的なところは彼らしい。
「2021年はできるなら、たくさん試合を重ねて、試合ごとに成長し、もっとみなさんの前で演技したいです。楽しく、幸せな気持ちになれるので」
宇野は何気なく言ったが、その言葉に彼のスケーターとしての本質はあるのだろう。今年3月には、スウェーデンで世界選手権が予定される。"笑顔の行方"が見えるはずだ。
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