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羽生結弦が進化させた競技レベルへ一歩ずつ。鍵山優真と佐藤駿の挑戦 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Dreams on ICE 2020

 SPについて、7月の全日本シニア強化合宿時にはコーチでもある佐藤操氏の振り付けの『テイク・ファイブ』と公表したが、その後ローリー・ニコル氏に振り付けを依頼し、チェリストのヨーヨー・マの『ボーカション』になった。シルクロードのさまざまな道を旅して戦うイメージの曲だ。

 だが、その曲調は最初からアップテンポで、鍵山自身も「踊り続けている感じ」といい、体力が必要なプログラムになっている。曲調が優しくスローになってもステップシークエンスでしっかり踏むことを意識しなくてはならず、最初から最後まで休めるところがない構成だ。曲かけ練習を終えた後は荒い息づかいをしていたが、本番はしっかりやり通していた。

 一方、佐藤のSPの『パイレーツ・オブ・カリビアン』も、振付師ブノワ・リショー氏の独特で複雑なつなぎがある難しいプログラムだ。今季は表現力向上も意識し、「曲かけを何度も繰り返し、特にステップの練習に力を入れてしっかり表現できるようにしている」と話す。 

フリー演技時の佐藤駿フリー演技時の佐藤駿 ゆっくりとした曲調の前半、佐藤は振り付けを意識した丁寧な滑り出し。しかし、グループ1番滑走の緊張感もあったのか、動きに硬さがあった。勢いに乗れず、最初の4回転トーループは両足着地になって連続ジャンプにできず、次の4回転ルッツも軸が流れて3回転にとどまった。

 それでも後半のトリプルアクセルをきれいに決めてからは立て直し、ステップシークエンスを大きく見せる動きでしっかりこなすと、コンビネーションスピンで締めた。

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