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羽生結弦はソチで「五輪の怖さを知った」。魔物に立ち向かった底力 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA/Noto Sunao

 そうした状況で、羽生の演技は驚くべきキレだった。すべての要素を完璧に決めると、技術点・演技構成点共に団体戦を上回り101.45点を獲得。公式戦の世界最高得点かつ、史上初の100点超えで首位に立ったのだ。

「100点超えは考えてもいなかったけれど、五輪の舞台で達成できたのはうれしいです」

 2位のチャンはSPで97.52点。羽生が優勝争いで先手を取った格好だった。だが、フリーは、それまで息を潜めていた五輪の魔物が、姿を現したのだった。

 21番滑走の羽生は、直後にチャンが控えていることもあり、緊張で体がまったく動かなかったのだ。

 フリーの羽生の滑りは、これまで見たことがないほどぎこちなかった。最初の4回転サルコウで転倒。その後、4回転トーループは決めたが、続く3回転フリップで再度転倒する驚きの展開だった。スピード感と自信に満ちたいつもの演技とはまったくの別物だった。

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