2020.07.27

村上佳菜子がソチで震えたコストナーの演技。
滲み出る「色気と人柄」

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by JMPA

 フィギュアスケートファンなら誰もがあるお気に入りのプログラム。ときにはそれが人生を変えることも――そんな素敵なプログラムを、「この人」が教えてくれた。

銅メダルを獲得したソチ五輪のフリーで『ボレロ』を滑るカロリーナ・コストナー私が愛したプログラム(8)連載一覧はこちら>>
村上佳菜子
『ボレロ』カロリーナ・コストナー

 私のお気に入りのプログラムは、カロリーナ・コストナー選手が2014年ソチ五輪で滑ったフリー『ボレロ』(振付/ローリー・ニコル)です。
 
 コストナーさんの『ボレロ』は、同じメロディーを繰り返している中で、ストーリー性というよりは、コストナーさんの魅力で色づけている感じがします。『ボレロ』は黒と赤というイメージがあり、コストナーさんの衣装もその系統だったと思うのですが、私が演技を見た時はいろんな"色"が見えました。

 単調な曲で、すごく難しいはずなのに、4分10秒がすごく短く感じた演技でした。大人の女性の魅力と色気が滲み出る一方で、人柄のよさも醸し出していたように思いました。試合なのに試合じゃないような演技で、最後のステップのところは、見ている者全員、鳥肌が立つほど感極まっていたように感じました。もともとコストナーさんを尊敬していたのですが、特に『ボレロ』というプログラムは印象に残っています。

『ボレロ』はもともと男性が踊っていたものですが、それを女性版として昇華させた感じで滑っていたんじゃないかなと思います。特に最後のステップは、色っぽさだったり、女性の強さだったりが感じられた情熱的なものでした。試合なのでステップはしっかり踏まなきゃいけないんですけど、コストナーさんの長い手足を生かし、遠心力を使いながら踏んでいたステップがすごく素敵でした。

 私にとってコストナーさんがどういうスケーターだったか、ひと言でいうのは難しいです。ジュニアやノービス時代にコストナー選手を見ていた頃は、ジャンプの回転で日本にはあまり反対回りをする人がいなかったので、それが印象的でした。特に意識するようになったのは、「こういう風に見せられる選手になりたい」と思ったのがきっかけです。