羽生結弦はチェンとの死闘でまた一歩強くなった。目指すべき道が明確に (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 だが次のスケートカナダ(10月)では、「スケートアメリカでのネイサン(・チェン)選手の演技を見ていて、『自分はこういうタイプではないから、自分の演技をしなければいけない。彼にはない武器も持っているのだから、それをうまく使っていきたい』とあらためて感じて、落ち着いた」と話し、スッキリした表情で臨んだ。

 その結果、フリーでわずかなミスはあったものの、世界最高得点に迫る322.59点で優勝。自信を取り戻すことができた。

  NHK杯(11月)は、「カナダ以上の結果を」と思うプレッシャーと、3年前の公式練習でケガをした大会という恐怖感を持ちながら臨んだが、305.05点で優勝。フリーのミスで得点は伸びきらなかったが、いちばん大事だと考えていた最初の4回転ループと4回転サルコウをしっかり決められたことと、SPではカナダに続いて109点台を連発したことで手ごたえをつかんだ。

「やっと(グランプリ/GP)ファイナルで戦える位置に来たと思う。ネイサン(・チェン)選手との戦いと考えているけれども、やっぱり勝ちたい。彼も、これまでの2戦とは違うことはわかっているはず。カナダや今回以上にいいコンディションで臨むのが、いちばん必要な対策だと思う」

 そう話す羽生は、ネイサン・チェンとの戦いを心待ちにしている様子だった。

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