羽生結弦はチェンとの死闘でまた一歩強くなった。目指すべき道が明確に (7ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「これまでのバラード第1番の中でいちばんよかったんじゃないか、と思っています。オトナルをやってきたからこその表現や深みも出せました。なにより、曲をしっかり感じながら、すごくクオリティの高いジャンプを跳べたのはこのプログラムならではかな、と感じます」

目指すべき道が明確になり、来季の出来に期待ができる羽生結弦目指すべき道が明確になり、来季の出来に期待ができる羽生結弦 結果は、世界最高の111.82点を獲得した。

 冒頭のジャンプを4回転ルッツにしたフリーは、リンクに穴が開いていたアクシデントもあって集中し切れず、ミスからのスタートになった。さらに後半の連続ジャンプで崩れて、合計は299.42点だったが、圧勝してジュニアとシニア主要6大会を制する"スーパースラム"を達成した。

「フリーに関しては点数を出し切れていないけど、方向性は間違っていないと思うので、この方向でやりたいですね。今後の計画はまだあまり具体的にはできていないのですが、ゴールは明確で、4Aを入れて今回の(SPの)バラードみたいなフリーをつくり上げること。バラードでは本当にシームレスな演技ができたので、フリーもそういうものに仕上げたいです」

 目指すべき道が明確になった状態で臨もうとした世界選手権は、新型コロナウイルスの影響により開催中止となった。だが、来季はどんなプログラムで、どんな羽生結弦らしさを見せてくれるのか。それを大きな楽しみとして残してくれたことは間違いない。

【2019-2020シーズンの主な成績】
■オータムクラシック(279.05/1位)
■スケートカナダ(322.59/1位)
■NHK杯(305.05/1位)
■グランプリファイナル(291.43/2位)
■全日本選手権(282.77/2位)
■四大陸選手権(299.42/1位)

7 / 7

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る