宇野昌磨は楽しみながら強くなる。ランビエルが語った復活の真実 (4ページ目)
「あきらめなくてよかったです」
宇野は、そう洩らしている。
「スケートをやっていて、つらい、と思うことがいちばん多いシーズンで。うれしさが苦しさに代わっていました。頑張らないと、やらなきゃ、で自分を(追い込んで)見失ってしまった。(全日本に向けては)楽しく練習できて。(本番でも)失敗を失敗と思わず、演技をやり続けられたのがよかったと思います。ミスを引きずらず、最小限に抑えられました。スケートをやってきてよかったな、と」
彼は苦難を乗り越えることによって、楽しむ境地を得た。それが劇的な復活の中身だろう。無心でスケートを楽しむ――。それが新しい時代の王者の流儀だ。
「つい最近まで、僕はあっち側にいたんですが」
全日本での優勝会見、宇野は3位に入った6歳年下の鍵山優真へ目線をやりながら言った。
「男子も、(ジュニアに)すごくうまい子が出てきているので。自分も、一緒にうまくなっていきたいです。追われるだけでなくて...僕もまだ22歳なので、もっと上を目指し、成長していきたいです」
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