2020.03.19

樋口新葉が取り戻した躍動感。
「強いワカバ」が帰ってくる

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

Never give up! 
日本フィギュアスケート2019-2020総集編(5)

 カナダのモントリオールで開催予定だった世界フィギュアスケート選手権が、新型コロナウイルスの影響で中止になり、2019-2020シーズンが終了。今季も氷上で熱戦を繰り広げた日本人スケーターたちの活躍を振り返る。

 昨シーズンはケガの影響もあり、不完全燃焼だった樋口新葉。今季はその悔しさを糧に大きな一歩を踏み出した。

全日本選手権の表彰式で笑顔を見せた樋口新葉「どうしても頑張りたい、と思って練習してきました」

 2019年12月、全日本選手権で2位になった樋口新葉(19歳)は、そう言って口元に力を込めた。気骨を感じさせるフリースケーティングだった。演技後、彼女は奮然と歯を食いしばり、ふたつの拳を握り、力こぶを作り、全身で喜びを表現した。

「2年間、表彰台に上がれず、悔しい思いをしてきました。世界選手権に行けず、ケガもあって。シーズン最初から全日本に照準を合わせてきて、よく頑張ることができたな、と思います」

そう語った樋口は、練習を積んでいたトリプルアクセルこそ回避したものの、後半の3回転フリップの着氷が乱れた以外、すべてのジャンプを成功させた。疾風を感じさせるような滑りで、勇ましさすら感じさせ、体全体で発する躍動感があった。シーズン最高スコア更新で138.51点を叩き出し、ショートプログラム(SP)の4位から2位へ躍進。世界選手権出場の切符を手にした。

「試合に自信を持って臨めるだけの練習をしてきました」

 取材エリアで答える樋口は、堂々とした様子だった。逆転で表彰台を勝ち取った高揚もあっただろう。しかしそれ以上に、競技者の献身と矜持があふれ出ていた。

 ジュニア時代、樋口は破竹の勢いだった。同年代には敵なし。14-15シーズンには、中学2年生にして全日本で3位。2004年の浅田真央以来の快挙だった。そして15-16シーズンには、中学3年生で全日本2位を勝ち取っている。