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樋口新葉が取り戻した躍動感。
「強いワカバ」が帰ってくる (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 甘い物や炭水化物を抜く食事療法だったという。好物の白いご飯を口にせず、夜の厳しいトレーニングもやり抜いた。体が軽くなったことで、ジャンプも飛びやすく、終盤まで体力が続くようになった。さらに言えば、慢性的になっていたケガもしなくなったという。トレーニングを増やしながらの体重管理だったことで、自然と筋量が上がり、感覚も研ぎ澄まされていた。

力強い滑りを取り戻した樋口新葉力強い滑りを取り戻した樋口新葉 たとえば全日本のフリー後半、予定していた3連続ジャンプが単発になっても、直後の3回転ルッツから3連続ジャンプを入れている。苦しい時間帯、リカバリーができたのは、コンディションのよさの証左だろう。その機転と胆力は、彼女の才能だ。

「不安もありましたが、結果を出せたことで自信になりました」

 そう語った樋口の視線は、すでに先に向かっていた。

 2020年2月、四大陸選手権ではSPで72.95点、フリーで134.51点、合計207.46点と、自己ベストを更新した。そして全日本で封印したトリプルアクセルを跳び、回り切って認定を受けている。惜しくも転倒し、スコアは伸びなかったが、大きな一歩だ。

「今シーズン、1本はトリプルアクセルを入れたい」

 そう公言してきた樋口は、目標を実現した。反撃に向けて準備は万端だ。

"強いワカバ"が帰ってくる。

【2019-2020シーズン主な成績】
■ロンバルディア杯(164.37/8位)
■スケートアメリカ(181.32/6位)
■フランス杯(174.12/6位)
■全日本選手権(206.61/2位)
■四大陸選手権(207.46/4位)

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