フィンランド大会SP首位発進。羽生結弦はそれだけでは納得しない

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 演技構成点もトランジションの9.39点からコンポジションの9.64点の間でまとめて2番手のミハイル・コリヤダ(ロシア)に4.35点差をつける47.60点を獲得。合計を新ルールでは世界最高の106.69点にし、2位のミハル・ブレジナ(チェコ)に13.38点差をつけてトップに立ったのだ。

「とりあえず100点を超えたのは大きいかなと思います。まずはそこが一番です。まだまだ自分のベストの点数ではないかもしれないけど、とにかく明日も残っているという気持ちも含めて、この点数からまた新たに身を引き締めて明日につなげられればと思います」

 SPのジャンプはすべてを手の内にしていると言ってもいいジャンプばかりだ。本人も「この構成でミスなんかしていられない」という気持ちでやっているという。だが、それだけで納得しないのが羽生である。

「ジャンプも安心してやるのであれば、たとえばイーグルを抜いたりツイズルを抜いたりとか、ダブルスリーを抜いたりとか、いろんなことができると思います。でもこのショートプログラムに関してはだいぶ滑り込めてきているとも思うし、何より自分がジャンプに入るにあたって『ジャンプを跳びますよ』というプログラムにはしたくないので。リスクをちょっと取りながらも、自分の中で安定して気持ちを入れられるようにと心がけています」

 ジャンプ以外の要素をすべて後半に入れ、観客の声援や盛り上がりにも後押しをしてもらうことも考えて作った構成は、「とくに今日はスピンのところでは自分の中ですごく気持ちも込められたと思うし、あとは自分のステップの部分も後半の曲の盛り上がりだけではなく会場の雰囲気もすごく盛り上がって後押しをしていただけるような雰囲気もあったので。そこはすごく自分自身も気持ちよくできたかなと思います」と話す。

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