ザギトワは「10代半ばの
五輪金メダリストは消える」歴史を覆せるか (2ページ目)
それでも、ジュニア時代から2シーズン滑りこなしてきたフリーの『ドン・キホーテ』で高得点をマークして逆転するかたちで2連勝。その勢いのままGPファイナルも初制覇し、一躍、五輪の金メダル候補に躍り出た。
ジュニアから上がってきたばかりの15歳が、どうしてこれほどまでに強さを発揮できたのか。それは、SPでもフリーでも基礎点が1.1倍になるプログラム後半に全てのジャンプを組み込む最強の構成にした「勝負のプログラム」を作り、ミスなく演技できるまでに完成度を高めたからだ。
五輪の前哨戦となった欧州選手権では、今季初めてSPでジャンプの失敗をせずに首位発進し、フリーもノーミス演技で完全優勝を果たした。ケガのため一時戦列を離れていた世界女王メドベデワの復帰戦となった欧州選手権を制したことで、ザギトワは完全にロシア勢の序列を逆転させる格好となった。
迎えた平昌五輪では、SPもフリーも3回転ルッツ+3回転ループの高難度の連続ジャンプを組み込んだ最強のジャンプ構成で挑み、見事にパーフェクト演技を成し遂げた。SPは歴代世界最高の82.92点をマーク。フリーでも156.65点の高得点を叩き出して合計239.57点とし、メドベデワを1.31点差で上回った。
「失敗する権利は自分にはないと感じていました。それが、モチベーションと同時に緊張になりました。手は震えていましたが、何度も繰り返してプログラムを練習していたことを体が覚えていたから、勝手に動いてくれました。
(5歳でスケートを始めて)10年間フィギュアスケートをやってきて、よいときも悪いときもありましたし、ケガもありました。それらを全てくぐり抜けて五輪のメダルに手が届きました。成功の秘訣のひとつは、コーチを完全に信頼していたことです」
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