ザギトワは「10代半ばの
五輪金メダリストは消える」歴史を覆せるか
完璧な演技で平昌五輪を制したアリーナ・ザギトワ 平昌五輪フィギュアスケート女子シングルでは、ロシア勢がまれに見る激戦の末にワンツーフィニッシュを果たした。その主役がフィギュア王国ロシアの新星で15歳のアリーナ・ザギトワだ。フリーが行なわれた2月23日に15歳281日だったザギトワは、1988年長野五輪を15歳255日で制したタラ・リピンスキー(アメリカ)に次ぐ、史上2番目の若さで五輪女王になった。
最終滑走者、エフゲニア・メドベデワの得点が出て金メダルが決まった瞬間、グリーンルームで待機していたザギトワは、うつむいてうれし涙を流すと、それをそっと右手で拭い、静かに喜びを味わっていた。普段から感情を表に出さないという彼女だが、あまりにも落ち着いていたのが印象的だった。
その瞬間を振り返ったザギトワはこう語っている。
「心地よい驚きを感じました。コーチと一緒にたくさん練習したので、緊張に対処することができて嬉しかったです」
ジュニアだった2016~17シーズン、ザギトワは出場した7大会のうち5大会で優勝するなど、急成長を遂げた。今季、鳴り物入りでシニアデビューを果たすと、平昌五輪まで、出場した全ての大会を総なめにした。
しかし、シーズン前半戦のグランプリシリーズ2大会では、新しく作ったショートプログラム(SP)の『ブラックスワン』をなかなか滑りこなすことができなかった。プログラム後半に3つのジャンプを組み込んでいたが、得点源となるジャンプで転倒する失敗で出遅れ、一度も首位発進できずにいた。
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