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羽生結弦は冷静に、勝つべくして勝った。
番記者が見た五輪V2の裏側 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA/Noto Sunao

 そんな中では冷静になるしかなかった。今の自分ができる最大限のことをやり、そのうえで勝つためにはどうすればいいのか。

 選んだのは、4回転ジャンプはサルコウとトーループのみにするということだった。江陵入り翌日の記者会見で羽生は、「クリーンに滑れば絶対に勝てるという自信がある。本当にそういう風に思っているので、クリーンに滑るプログラムを何にしていくかというのは、これから徐々に調子を上げていく中で決めたいと思っている」と話した。

 その言葉の裏には、世界歴代最高得点を連発した2015年のNHK杯とGPファイナルが念頭にあったはずだ。その時も4回転はサルコウとトーループのみだった。SPでは2本とも前半に入れた構成で、フリーはサルコウとトーループの単発を前半に入れ、後半の4回転はトーループのみの3本という構成。それで330.43点を出していた。

 今回は、SPの4回転トーループ+3回転トーループが後半に入っていて、フリーも4回転が4本で、後半にサルコウとトーループを連続ジャンプの構成。基礎点を考えれば2015年より高くなっている。さらに他の選手の最高得点をみれば、宇野昌磨の319.84点を筆頭に300から310点台。羽生はそのプログラムをノーミスでやれば悪くても320点台は出せて、勝利を手にできると考えたのだろう。

 あとは平昌五輪の舞台でそれを実行するだけだった。

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