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羽生結弦、勝てなくても「足がグタグタに
なるまで滑る幸福を感じる」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「そういう面では、コントロールの仕方がまだまだなんだと思います。ここまでそうやってひとつひとつクリアしてきたわけですから、僕は少しずつしか成長できないのだと思います。オータムクラシックのように自分の中ではある程度簡単な構成でやった試合と、今回のようにほぼ全力の構成でやった試合を比較してみると、総合得点は今回の方がいいですが、ショートに関しては前の方がいい。ショートを前(オータムクラシック)の構成にしてフリーは今回の構成にすればいいのでは、と思う方もいるかもしれないですけど......。ただ、僕はこうやっていろんなことに挑みながら、緊張して本当に脚がグタグタになるまで滑ることができる幸福を感じながら今回の試合をやっていたんです」

 羽生はそんな苦しい状態から、フリーの終盤は「絶対的な自信を持っている」と話していた4回転トーループとトリプルアクセルで立て直した。4回転トーループには4回転サルコウにつけられなかった3回転トーループをつけて連続ジャンプにし、トリプルアクセルには両手を上げる2回転トーループをつけてGOE加点1・86点。さらに、最後のトリプルアクセルもきっちり決め、その後のふたつのスピンはともにレベル4。コリオシークエンスはジャッジ9名中8名がGOEで満点の3点をつけた。

 羽生の得点は、195・92点。この結果、ルッツを含めて4本の4回転ジャンプを成功させたネイサン・チェン(アメリカ)が、SPとフリーの合計293・79点で優勝。羽生は3・02点差の合計290・77点で2位となったが、フリーでは1位となり意地を見せた。

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