羽生結弦の今季フリー『SEIMEI』は2年前と、どう変わったのか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 今シーズン初戦となったオータムクラシックでは、羽生は右膝の不安からSPと同様にフリーでも4回転ループを封印。前半はルッツ、ループ、フリップの3回転ジャンプを入れる構成で臨んだ。基礎点が1.1倍になる後半は、昨シーズンの国別対抗戦で「ショートで失敗して7位になったのがすごく悔しくて、それでもう1本4回転を入れちゃえと思って」(羽生)実行したフリーの後半と同じ、4回転3本とトリプルアクセル2本という構成。4回転サルコウ+3回転トーループを跳んだあと、4回転トーループを3連続ジャンプと単発で続け、トリプルアクセルを連続ジャンプと単発にして締めるという演技だ。

 昨季、演技後半の4回転サルコウで苦しんでいた羽生だったが、世界選手権と国別対抗できれいに決めたことで自信をつけているようだ。さらに、4回転トーループとトリプルアクセルを2本ずつ入れることで、より難度が高くなるとともに、GOE加点を狙う意図もあるのだろう。もし前半に多少のミスが出ても、後半のジャンプを決めれば、十分リカバリーでき、得点を稼ぐこともできる。

 しかし、オータムクラシックでは後半への意識を強くしていたものの、スピードを上げて入った最初の3回転ルッツがパンクしてリズムに乗れず、後半に成功したジャンプは4回転サルコウ+3回転トーループのみ。気持ちが空回りする結果になってしまった。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る