日本競泳界の新たなスター候補、17歳今福和志はどうやって育ってきたのか――その強さの秘密
夏の世界水泳(世界選手権2025シンガポール/7月)の代表選考を兼ねた競泳日本選手権(3月20日~23日)が東京アクアティクスセンターで行なわれた。その最終日、男子自由形1500mで高校2年生の今福和志(枚方SS/四条畷学園高)が、これまでの記録を4秒62も更新する14分50秒18の日本新をマークして優勝を飾った。
今福は大会初日の自由形400mに続いて、派遣基準となる世界水泳スタンダードA記録を突破。2種目での世界水泳初代表を決めた。
先の日本選手権で躍動した今福和志 photo by Kishimoto Tsutomuこの記事に関連する写真を見る 1500mで日本記録を大幅に更新するまでに、今福は大会初日に400mの予選と決勝を泳いだ。続いて、2日目には800mにも出場。派遣記録突破はならなかったものの、同距離でも1位でフィニッシュし、翌3日目に1500mの予選を泳いだ。
そして迎えた最終日の1500mの決勝。今福は疲労を抱えながらも、最初から日本記録を上回る100m59秒台のペースを刻んで攻める泳ぎを見せた。今福が言う。
「自分の世界に入った時は周りがまったく見えなくなって、自分と勝負する気持ちになるのですが、今日は(そういった感覚が)いつもより増して、本当に隣に自分がいるみたいな感じで泳げて楽しかった」
終盤に入ってからは100m1分台のラップが4回続いたが、ラスト100mでは57秒32とタイムを上げてゴール。記録更新を狙って、見事に成し遂げた日本新だった。
2種目の高校新を含め、まさに記録尽くしでの日本選手権三冠を果たした今福。しかし彼は、その結果に何ら満足していなかった。
「まだこんな記録では(世界では)絶対に戦えないし、日本で強くても世界で弱い、というのが今の日本の自由形長距離。なので、うれしくも悲しくもなく、何とも言えない感情です」
そもそも自身の専門種目と意識する1500mでは、今回は14分50秒切りを狙っていたという。というのも、昨年のパリ五輪において、同種目で予選を突破した5位~8位のタイムが14分45秒台だった。世界水泳で同等のタイムを記録して決勝進出を果たすためには、現時点で14分40秒台をマークしておきたかったからだ。
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