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指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る
スケーティング「基本中の基本」 (5ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 もしゴール地点がスタート地点と違えば、規定競技(コンパルソリー)の場合は高い得点をもらうことはできません。ひと口に「氷上に正確なサークルを描けるようになる」と言っても、昔、行なわれていたコンパルソリーフィギュアでは、1日に5~6時間の練習を10年、15年と続けてやって初めて一人前になったものです。

 現在のフィギュアスケート界では、「そんなことやってられるか」ということで競技会からコンパルソリーはなくなってしまいましたが(笑)、正確なエッジに安定して乗れる技術を習得して「スケーティング」を極めるということは、それほど難しいものなのです。現行のルール上ではフリースケーティングの中で行なうターンなどは、昔のようなコンパルソリーとまったく同じものではないけれども、その流れを組む動きの一種であると言えるのではないでしょうか。

「スケーティング」の基本的な動きをきちっと身につけるということは、技術をきちんと覚えるということです。だからこそ、しっかりと教えるという作業がそこには必要になってくるのです。たとえば「じゃあここでチェンジエッジをしましょう」というときでも、足首の力だけでやったらトレースがキュッキュッと直線的になってしまいます。だから、「フリーレッグのスイングを使ったり、ひざのアップダウンを利用したり、体の回転運動を増やしたり減らしたり、いろいろなことをしながら、円から外れないようにスーッと回っていくんだ」と、全身を使ってやるように指導するわけです。

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