指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る
スケーティング「基本中の基本」

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

連載・佐藤信夫コーチの「教え、教えられ」(3)

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 日本フィギュアスケート界の重鎮であり、選手時代から指導者になった今でも、フィギュアスケートの発展に尽力している佐藤信夫氏。コーチ歴50年。74歳になった現在も、毎日リンクに立ち、浅田真央らトップ選手から幅広い年齢の愛好者まで、フィギュアスケートを教え続けている。

 その佐藤コーチはフィギュアスケートに、「本来あるべき基本がある」と言う。

1942年1月3日生まれ。現役時代は全日本選手権10連覇、60年スコーバレー五輪、64年インスブルック五輪に出場。その後コーチとなり、荒川静香、安藤美姫、村主章枝、小塚崇彦らを指導。現在、浅田真央のコーチを務める1942年1月3日生まれ。現役時代は全日本選手権10連覇、60年スコーバレー五輪、64年インスブルック五輪に出場。その後コーチとなり、荒川静香、安藤美姫、村主章枝、小塚崇彦らを指導。現在、浅田真央のコーチを務める フィギュアスケートの「スケーティング」の概念をお話しすることは非常に難しいものがあります。僕は僕のやり方で「スケーティング」というものを理解して、指導者としてそれを教えている。もちろん私のスケーティング指導がすべて正しいということではないのですが、それでも私にとってのすばらしい「スケーティング」というものはあります。

 以前、スケートを教わる時期は若ければ若いほどいいという話をしました。それは人間が持つ身体的な仕組みでもあるから、大人になってから習ってもなかなか身につかないことがあるのは仕方がないのです。大人になってから一輪車に乗れるようになるのは大変なことだけど、小学校の低学年の子どもたちはいとも簡単に乗れてしまう。それは、重心があっちへ行ったりこっちへ行ったりしても、子どもはそれを自然に体で吸収して、「こうなった時にはこっちに体重を預ければいいんだ」ということをすぐに覚えてしまうためです。

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