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指導歴50年、佐藤信夫コーチが語る
スケーティング「基本中の基本」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●構成 text by Synn Yinha 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 そして、僕がスケーティングを教える中で、言葉にして厳しく言う基本の姿勢は、「まず、体をなるべくまっすぐにしたほうがいいよ」ということです。スケーティングというのは「1本のエッジに乗ってスーッと弧を描くこと」ですが、姿勢が良ければ次の動作(ターンなど)に無理なく移れるからです。もちろん、転倒時に頭部を守るために前傾気味になる初心者が、最初から体をまっすぐにして立つことはできないかもしれませんが、まっすぐな姿勢を作るという意識を持つことが必要なのです。

 まっすぐ立っている姿勢と前傾で立っている姿勢とでは、全然重心点の位置が違います。だからスケートにかかってくる角度の問題だとか、いろいろなものがみんな微妙に違ってしまうわけです。体をまっすぐにして、片足で立つことがどういうことなのか。右足、左足と交互に立って、こんな感じだ、あんな感じだとやっているうちに前方に滑り出し、その次は大きなカーブが生まれ、どこかのタイミングでターンが始まり、そしてチェンジエッジが始まるといった具合です。

※連載(2)を参照>>

 そういう大雑把ながら基本的なことを、順番に体に植え付けていくという作業はものすごく大切です。「だって、こうやったほうがやりやすいんだもん」と言う子どもに対して、「それは駄目だよ」と言わなければならない場面も出てきます。なぜかというと、そういうことをしたら次の動作につながらないからです。自由にいろいろな動きを覚えさせながらも、やはり基本をしっかりと教え込み、自分の思い通りの滑りが自然とできるように導いてあげる。癖がついてしまうと、ややこしい部分がだんだん出てくるからです。

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