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鈴木明子さんが語る世界選手権「浅田真央選手の『滑る喜び』を見たい」 (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

自信をつけて150cmの体が大きく見える

── 自分の滑りを取り戻せずに苦しむ浅田選手とは対照的に、17歳の宮原選手の安定感は、ほかの選手を圧倒しています。グランプリファイナルで2位、全日本選手権で2連覇、1月に行なわれた四大陸選手権ではパーソナルベストを更新して優勝を飾りました。

鈴木 前回の世界選手権で銀メダルを獲得したことが自信になって、演技が大きくなりました。以前は「スピードが課題です」と本人は言っていたのですが、私はそうは思いません。体は150cmと小柄ですが、丁寧に繊細に滑るのが宮原選手の個性になっています。演技中の顔を見て、特にショートプログラムでも「こんな表情ができるようになったんだ!」と感心しています。

 コツコツと積み上げてきたものが形になり、成績として出ているので、これまでとは違う喜びを感じているのではないでしょうか。いい成績を残しても慢心することなく、努力を続ける姿には本当に頭が下がります。自信がついてきて、インタビューなどの声が大きく、自分の目標をしっかり言葉にできるようになりました。宮原選手の取材をするたびに成長を感じています。

── 女子ではもうひとり、本郷理華選手が2度目の世界選手権に挑みます。鈴木さんが振付を担当している選手です。

鈴木 本郷選手は、12月の全日本選手権でこれまでしたことのないミスをして表彰台に上れなかったので、本人は相当悔しがっていました。と同時に、欲も出ています。これまでは「練習でやったことが本番でできたよかった」という感じでしたが、「もっと上に行きたい」と考えているようです。「試合に出れば自己記録更新」という時期は過ぎたので本郷選手は苦しんでいますが、その壁を乗り越えられれば違う世界が見られるはずです。

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