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鈴木明子さんが語る世界選手権「浅田真央選手の『滑る喜び』を見たい」 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

── 復帰戦で浅田選手は、宮原知子選手やロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ選手、アデリナ・ソトニコワ選手を抑えて、見事に優勝を飾りました。

鈴木 あの試合でうまくいってしまったので、そのあとが難しくなってしまったのかもしれません。自分で自分を苦しめたような気がします。本番でもうまくできてしまったからこそ、「もっと、もっと」と考えたのでしょう。人間には欲があるので、どうしてもそうなってしまいます。

 しかし、優勝を飾った11月のグランプリシリーズ中国杯以降、ちょっと歯車がかみ合わなくなってしまいました。NHK杯(3位)も、グランプリファイナル(6位)も、12月の全日本選手権(3位)でも、なにか考え込んでしまっているように思えました。復帰戦で見せたような、パッと晴れた浅田選手らしい表情が見られません。

── 技術的にどこか悪いのでしょうか。

鈴木 ショートプログラム、フリーともに、すばらしいプログラムです。細かくチェックしても、パーツパーツは悪くありません。練習では、どのジャンプも質が高く、いいものばかり。問題は、プログラムのなかでどれだけいいものを出せるかです。NHK杯のスペシャルエキシビションで会ったとき、「私が最年長なんだよ」と言っていました。年齢のことは気にしているかもしれません。

── 鈴木さんが引退するまでは、鈴木さんが日本選手では最年長でしたからね。

鈴木 はい。記者の人には、年のことでさんざん質問されました(笑)。年齢とともに少しずつ体は変化していきます。疲れが抜けにくくなるのは当然です。浅田選手は浅田選手なりのペースを早くつかんでほしい。10月からは試合が続いたので調整が難しかったと思いますが、世界選手権まではじっくり練習できたはずなので、ボストンでは彼女らしい滑りを見せてくれると思います。実戦から少し離れたことで、「滑る喜び」をまた思い出したのではないでしょうか。それを世界選手権で見せてほしい。

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