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鈴木明子さんに聞く世界選手権。「羽生選手は進化のスピードが速すぎて...」 (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

 私がデトロイトで練習したとき、パトリック・チャン選手(カナダ)のショートプログラムを見せてもらいましたが、かなり調子を上げていました。あのパーフェクトなプログラムを見てみたい。チャン選手やデニス・テン選手(カザフスタン)、前回優勝のフェルナンデス選手が、羽生選手を意識してどんな構成で臨むのか、楽しみです。そこに宇野選手が絡んでほしい。

 それ以外の注目は、中国のボーヤン・ジン選手です。4回転ルッツが、本当にすごい。「あれだけ高く上がれば回れるよね」とうらやましくなるほど。プログラムの完成度はまだまだですが、今後日本選手にとって脅威になるでしょう。

── 異次元の強さを見せる羽生選手のことを、ほかの選手たちはどう思っているのでしょうか。

鈴木 「羽生選手に勝てなくても仕方がない」とは思っていないでしょう。特別な存在だと認めてはいますが、追いつき、勝つために挑んでくるはずです。フェルナンデス選手は4回転3本とトリプリアクセル2本も入れてきています。これ以上はないというくらいの難易度です。「絶対王者」であっても、簡単には勝てないと思います。

プロフィール
鈴木明子(すずきあきこ)
1985年、愛知県豊橋市生まれ。6歳からスケートを始め、15歳で全日本選手権4位に入賞し注目を集める。10代後半に体調を崩し大会に出られない時期もあったが、2004年に復帰。10年バンクーバーオリンピック代表の座を獲得し、8位に入賞した。12年世界選手権銅メダル。13-14全日本選手権では、会心の演技で13回目の出場にして初優勝。14年ソチオリンピックでは、同大会から正式種目となった団体戦に日本のキャプテンとして出場し5位入賞、個人戦では8位入賞を果たす。14年の世界選手権出場を最後に、競技生活からの引退を発表した。引退後はプロフィギュアスケーター、振付師、解説者として活動の幅を広げている。2015年12月、選手たちの心理戦から演技の舞台裏を描いた『プロのフィギュア観戦術』(PHP新書)を上梓した。


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