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鈴木明子さんに聞く世界選手権。「羽生選手は進化のスピードが速すぎて...」 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • 能登直●写真 photo by Noto Sunao

鈴木 金メダルを獲得したソチオリンピックから2年。あのときは、「発展途上で金メダルを獲った」ということですね。普通は、選手生活のピークでオリンピックのメダルが獲れるかどうかなのに、羽生選手は本当にすごい。まだまだ底が見えません。どれだけすごい選手になるのか、私たちのように日本代表を経験した選手でも想像がつかないくらい。進化のスピードが速すぎて、正直、戸惑っている部分もあります。

── 羽生選手が300点超え、さらには330点をたたき出したことで、ほかの男子の選手たちにどんな変化が出ているのでしょうか。

鈴木 羽生選手に勝つためには、さらに難度の高い技に挑戦する必要があります。トップがどんどんレベルアップしているので、「これまで通り」では絶対に勝てません。だから、かなり無理をして難しい技に挑む選手が増えています。高いレベルの戦いが見られるのはすごく楽しい反面、故障しないかどうか、心配になってしまいます。

── 時系列で見れば、いまはソチと平昌オリンピックのちょうど真ん中です。選手にとってはどんな時期ですか。

鈴木 オリンピックの4年間を一区切りと考えれば、最初の2年間にはいろいろなチャレンジができます。これまでと違った演技に挑むことも、新しい自分を見せることも、完成していない技を取り入れることもできます。そういう意味では、シーズンを締めくくる今度の世界選手権が重要になります。

── 逆に言うと、2016-2017シーズンとその次のオリンピックシーズンでは、あまりチャレンジできないということですね。

鈴木 はい。どうしても「まとめる」ことを考えることになってしまいます。新しいものを形にするのは、すごく時間がかかりますから。

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