新シーズンへ。羽生結弦が語ったソチ五輪後の「葛藤」 (2ページ目)
「僕自身は進化したいというのがあります。去年までのSPは完成させたと思っていますから、さらに進化し続けるために、何か新しいことをやりたいと思いました。4回転サルコウを入れることも頭にあったけど、今の僕では、そこまでのリスクはまだ負えないと思っています。それなら確率が高くなってきた4回転トーループを後半に入れようと思ったんです」
新潟のアイスショー初日、2回目の公演でジャンプをすべて成功させていた羽生 6月上旬に練習を始めたばかりで、プログラムを通しての練習もまだやっていなかったという羽生は、初披露をするときは、不安もあって緊張したというが、力強い滑りで4回転トーループもきれいに降りた。
「自信はついたけど、あくまでショーのSPとしての自信でしかないですね。(ショーは競技リンクより)リンクが小さいので、しっかりステップを踏めてないところもたくさんあった。まだ大きなリンクで滑っているわけではないですし、試合は試合ですから。課題もたくさんあるから、普通のサイズのリンクでもきれいにジャンプを決めて、完成させられるようにこれから頑張っていきたいですね。お客さんに見てもらうということはすごく大切なことなので、ショーも練習の場のひとつだと思っています」
こう話していた羽生は、7月5日、6日に富山市で行なわれたファンタジー・オン・アイスでも、縦60m、横30mの五輪サイズのリンクより狭い、縦41m、横19mのリンクでSPを披露。トリプルアクセルと4回転トーループ、3回転ルッツ+3回転トーループをきれいに決め、今シーズンのさらなる進化への強い決意が伝わってきた。
羽生は昨シーズン、SP、フリーの両方で完璧な演技をそろえた試合がひとつもなかったことへの悔しさがある。それが、進化への強い気持ちにつながっているのだろう。今季の目標についてこう口にした。
「今シーズンはいろんな意味でスタートの年になると思います。五輪が終わって、冒険ができる年というとらえ方もあるけど、やはり僕自身は五輪チャンピオンになった今だからこそ、これからの成績や実力というのが、ものすごく試されるようになると思っています。五輪チャンピオンらしい結果と演技を、このシーズンでしっかり印象づけていかなければいけないと思います」
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