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【ボクシング】中谷潤人のマネージャー・弟の龍人から見た井上尚弥戦 大一番を前にした兄の平常心、宿泊したホテルの一室で聞いた「独り言」 (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

【試合後の潤人の様子】

 ジャッジの採点は4ポイント差が2名、2ポイント差が1名の0-3で中谷は敗者となる。

「控え室でルディが、両親に『勝たせてあげられなくてごめんね』って謝ったんです。その時、ルディが責任を感じる状況を生んでしまったんだと、申し訳なく思いました。『そんなことはないんですよ』って心底感じました」

 左眼が痛むにもかかわらず、気丈に記者会見場に足を運ぶ兄の姿を見ながら、龍人は感じた。

「闘いを終え、自分の思いを述べる責任を果たさなきゃ、という気持ちだったのでしょう。ただ単にすごいなぁと見ていました。そのあと、病院に直行したのですが、あまり言葉は発していませんでしたね」

骨折をしながら試合後の記者会見に臨んだ中谷骨折をしながら試合後の記者会見に臨んだ中谷この記事に関連する写真を見る

 手術は腫れが引いてから行なわれた。

「今、兄はゆっくり生活しています。ペットと遊ぶくらいで、運動もできないですし。目に汗などが入ると回復が遅れるようです。スポンサーさんへの挨拶回りは時々やっています。兄弟で井上戦について話したいなという思いもあるのですが、潤人のケガが治ってからかなと。

『1試合だけど数試合分の経験を積んだ』と言っていましたね。潤人は今後のプランをまだ口にしないので、判断を下してから家族全員サポートしようと、両親とは語り合っています。

 あの試合は全体的によかったんですが、まさに潤人の生き様を見せた闘いでしたね。8ラウンドにお互いのパンチを躱して笑い合ったシーンは、僕にはわからない次元でした」

 傷が癒えたら、中谷潤人はまた走り出す。そして、龍人も並走する。固い絆で結ばれた中谷家の歩みはひとつの「家族のあり方」をも伝えてくる。

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著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

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