【女子プロレス】東京女子プロレスの上原わかなはアンチからの脅迫も受け止めて リングで誰かに響く「生き様」見せる (4ページ目)
9月20日、大田区総合体育館大会で、OberEatsは再び享楽共鳴に挑戦する。世間は「三度目の正直」と言うが、彼女は「二度目の正直で決めたい」と力を込める。もっとも享楽共鳴は"プロレス脳"もタッグ力も抜きん出ており、真正面からぶつかるだけでは勝てない相手だ。しかし上原は「タッグ歴はあちらのほうが長いけれど、深さではこっちが勝っている」と信じている。
プロレスを始めてから「すべてが変わった」。オーディションで振り切れなかった自分も、今は苦しい表情さえさらけ出せる。アイドル時代はNGな写真もあったが、今はどれでも構わない。リングに立つようになってから、ハートの強さが増したと感じている。
「プロレスって、生き様が見える。表情ひとつにも出るじゃないですか。だから試合を通して、ありのままの私の人生を見てほしい」
上原に会って強く感じたのは、「人に響かせたい」という思いの一途さだ。芸能活動をしていた頃から、その欲求は彼女のなかにあったのだろう。しかしプロレスと出会ったことで、その欲求はより生々しく、より切実なものに変わった。
リング上で涙を流すことも、負けて悔しがることも、時にアンチの声に傷つくことも――すべてが「響かせるための材料」になっていく。アイドル出身という肩書きは、もはや必要ない。彼女は今、プロレスラーとしての自分をさらけ出し、その姿で観客を揺さぶろうとしている。
9月20日、大田区総合体育館。あの日の悔し涙も、不器用さも、全部さらけ出してほしい。その姿がきっと、誰かの胸を震わせるはずだ。
【プロフィール】
◆上原わかな(うえはら・わかな)
1996年5月13日、神奈川県海老名市生まれ。幼少期から水泳やチアリーディングに打ち込み、高校時代にはチアで全国3位を経験。2018年にアイドルユニット「Advance Arc Harmony」でメジャーデビュー。得意の大食いを武器に『有吉ゼミ』などに出演し、注目を集める。2022年、YouTube企画『夢プロレス-dream on the ring-』に挑戦し、総合1位を獲得したことをきっかけにプロレスラーを志す。2023年1月4日、東京女子プロレス後楽園ホール大会でデビュー。2023年「ねくじぇねトーナメント」優勝。2025年には上福ゆきとのタッグ「OberEats」を結成し、プリンセスタッグ王座に挑戦するなど飛躍を続けている。163cm、48kg。X:@wakana_uehara
【大会情報】
■WRESTLE PRINCESS Ⅵ
■日時:2025年9月20日(土) 開場 13:00 開始 14:00
■会場:東京・大田区総合体育館
■対戦カード:
○プリンセスタッグ選手権試合 30分1本勝負
<王者組>中島翔子&ハイパーミサヲ vs 上福ゆき&上原わかな<挑戦者組>
○プリンセス・オブ・プリンセス選手権試合 30分1本勝負
<王者>瑞希 vs 渡辺未詩<挑戦者>
著者プロフィール
尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)
1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。
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