アイドル時代には届かなかった「センター」の座を掴んだスターダム上谷沙弥 「神様はいるんだね......」 (4ページ目)
【白いベルト獲得とフェニックス・スプラッシュの封印】
――2021年12月には、中野たむ選手を破って白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)を戴冠します。
上谷:2回目の挑戦で白いベルトを巻くことができた。その少し前くらいに、「フェニックス・スプラッシュ」という、プロレス技の中でも一番難易度の高い空中技を使い始めて。この時もその技で勝ったんだよね。
――習得までに時間はかかりましたか?
上谷:運動は得意なほうだけど、形になるまで2、3週間くらいかかった。頭のなかで動きのイメージをするけど、精度を上げるのに苦労したな。
――白いベルトは1年4カ月保持し、最多連続防衛記録となる15回を達成。そのなかで印象に残っている試合はありますか?
上谷:今、AEWで活躍している白川未奈と当たった時、フェニックス・スプラッシュでのフィニッシュの場面で白川の顔に膝が入って、ケガをさせた。それは、今でも忘れられない。プロレスとケガは隣り合わせだけど、あの時は自分自身のミスで白川の歯を折ってしまい、血だらけにして、欠場にまで追い込んだ。
もちろん白川のことも気がかりだったけど、それ以上に、「自分の代名詞だった技で白川にケガをさせた」という事実に、「もう今後使えない」って思ったし、それまで積み重ねてきたものが、すべてそこで終わった気がした。自分自身に対する自信が一瞬で揺らいだ。
――それから、フェニックス・スプラッシュは使ってないのですか?
上谷:横浜アリーナで白川と再戦した時に一回だけ出して、それっきり封印してる。
コーナーポストから飛んで回転するあの技は、相手だけじゃなく自分の身体にも相当ダメージを与えることになるしね。横アリの前から肩にずっと違和感があって、試合後に病院に行ったら、医者には、「肩のじん帯が、3本中2本切れてるよ」って言われた。そういうこともあって、封印した。ただ、フェニックス・スプラッシュが使えなくても、今の私なら他の部分で魅了することができる自信がある。私には、まだまだやりたいこともあるしね。
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