髙田延彦vs武藤敬司の熱狂、ヒクソン戦の放送にまつわる裏話を元東スポ記者・柴田惣一が明かした (2ページ目)
【強過ぎた初戦のインパクト】
――試合の内容はどうでしたか?
柴田:ものすごく盛り上がりましたね。髙田さんは団体のすべてを背負っているからちょっとナーバスになっていたけど、武藤さんはマイペースを貫いた。それが功を奏したんじゃないですかね。
そういえば、髙田さんが負けて下がろうとした瞬間に、誰かが「前田(日明)が泣いてるぞ!」って叫んだんです。誰が言ったかはわからないけど、テレビ中継でもしっかり声をとらえていて、波紋を呼びましたね。髙田さんの耳に届いたかは微妙だけど、UWFファンとしてはつらい光景だったでしょう。
――対抗戦のチケットは即完でしたね。
柴田:10・9の観衆は6万7000人。UWFインターに振り分けられた分はすべて売れたけど、チケットを欲しがるファンの問い合わせは止まらない。UWFインターにとって大事なお客さんもいたでしょうね。
新日本には頼めないから、僕に「チケット、なんとかなりませんか?」って聞いてくるんですよ。それで僕が、新日本に「田舎からみんなが来るんで、30枚なんとかなりませんか?」とお願いして、本当になんとかチケットを購入して、UWFインターに渡しました。それくらい売れましたね。
――1996年1月4日には、髙田さんが東京ドームで武藤さんを下し、リベンジに成功。第18代IWGPヘビー級王者になっています。
柴田:ただ、どうしても最初の対決のほうがインパクトは強いですよね。"外敵"だった高田さんが新日本の最高のベルトを奪ったわけですから、その偉業はもっと評価されてもいいと思います。
――確かに、最初の試合の足4の字固めのイメージが強すぎますね。
柴田:髙田さんはIWGPのベルトを取ったあと、同年の4月29日に橋本真也さんに敗れてベルトを手放しています。その試合も、もっと取り上げられていいのに、今ひとつですよね。それくらい、武藤vs高田の初戦がすごすぎました。
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