佐々木尽は日本人初の世界ウェルター級王者へ準備万端 「絶対に面白い試合になる」
話題性あるパフォーマンスなどで世界戦への道を切り開いてきた佐々木 photo by 山口フィニート裕朗/アフロ
後編:佐々木尽 世界戦直前インタビュー
6月19日、東京・大田区総合体育館で行なわれるWBO世界ウェルター級タイトルマッチ。同級2位の佐々木尽(23歳、八王子中屋)が王者ブライアン・ノーマン(24歳、アメリカ)に挑み、もし勝てばウェルター級では、史上初の日本人世界王者が誕生することになる。
佐々木はこれまで19勝(17KO)1敗1分の戦績を誇るが、ノーマンはプロデビュー以来27勝(21KO)無敗2無効試合という強豪。どこに攻略法を見出そうとしているのか。
【「(ノーマンは)結構、隙があるんですよ」】
――対戦相手のノーマンの映像をしっかり見てきたということですが、王者の長所はどういったところでしょう?
佐々木尽(以下、JS) : 3月に行なわれたデレク・クエバス(プエルトリコ)との初防衛戦(3回KO勝ち)がノーマンのベストパフォーマンスです。その試合と練習動画はじっくり見て、動きのパターンを研究してきました。
ノーマンのよさは攻撃力の高さと、ボクシングに対する思いの強さ。最近、彼の話を聞いていて、その気持ちの部分が一番の強さなのかなと感じるようにもなりました。あとはディフェンスとか、足の動きとか、基本がしっかりしているんですよね。ディフェンスと攻撃がちゃんと繋がっているのもいいと思います。
――逆に、言える範囲でいいのですが、弱点は見えてきていますか?
JS : 結構、隙があるんですよ。だからこれをやりたいというパターンは用意しています。それは試合を見てください、という感じです(笑)。
――ノーマンは、2024年3月のジャネルソン・ボカチカ(アメリカ)戦では初回にダウンを喫しています。その試合もチェックしましたよね?
JS : はい、もちろん見ました。あれも参考になりますね。
――一般的に佐々木選手のチャンスは序盤ではないかという声が多いですが、そういう意見はどう思いますか?
JS : そうなのかもしれないな、くらいの感覚ですね。判定でもKOでも、序盤でも中盤でも終盤でも、どういった形でも勝つ練習をしてきました。その点はこれまでと違うかもしれません。今までだったら序盤に倒してやろう、終盤はどうでもいい、とかそんな感じでした。それが今回は確実に勝ちたいので、それだけの準備はしてきました。だから皆さんのイメージどおりになるかもしれないですし、まったく違うかもしれません。
――確かにこれまではKOへのこだわりが強く、「初回KOが理想」という話もしていました。もちろんファンを喜ばせる試合がしたという気持ちは強いでしょうけれど、今回はとにかく勝利が大事ということですね。
JS : そうですね。いずれにせよ、絶対に面白い試合になると思います。それだけの練習はしてきているので、決してつまらない試合にはなりません。
1 / 2
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう