武居由樹がボクシング世界王者になる直前に大ピンチ 八重樫東トレーナーは「あんなこと言わなきゃよかった」と反省した (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【ローブローで減点も「気にせず打て!」】

――試合内容について、お聞きします。武居選手は2ラウンド、左のボディーストレートがローブローとして減点を取られました。あの時の気持ちはいかがでしたか?

武居 「あっ、減点取られた」と思ったくらいですね。「これで取られちゃうんだ」という感じでした。

――マロニー選手のベルトラインが太く、ハイウエスト気味だったようにも思えました。

武居 試合中はそれほど気にしていなくて、見返した時に、「あ~高いな」と。言われてみれば確かに......とはなりました。

――減点された直後も、左のボディーストレートを変わらず打ちにいきましたね。

武居 セコンドの八重樫さんから「気にせず打て! 減点されてもいい」と言われたので。(横にいる八重樫氏に)言いましたよね?

八重樫 そこまで低くなかったですからね(笑)。

――あの試合は、左を上下に散らして攻めるイメージだったんでしょうか?

武居 上下に散らすのと、真っすぐなパンチを打っていく、だったと思います。(八重樫氏に)合ってますか?

八重樫 あと、ワンツーですね。

武居 そうですね。ワンツーとボディー。当たればフック、みたいな感じでした。

――6ラウンド終了間際、そのボディーからのフックのコンビネーションでマロニー選手がよろける場面がありました。

武居 そこはしっかりと覚えています。ただ、残り10秒くらいしかなかったので、「ここで追撃にいってもダメだな」と判断しました。

――中盤以降、マロニー選手が前に出てきましたが、ある程度ポイント差は計算していたのでしょうか?

武居 僕はまったくしていなかったですね。ポイント差もわからなかったです。

――八重樫さんはいかがですか?

八重樫 マロニーは試合の前半、何もアクションを起こしてこなかったので、「武居がポイントを取っている」と思っていました。中盤以降は、距離が近くなって武居もパンチをもらい始めたので、ポイントがどっちに振れるのかわからなかった。ただ、中盤以降がイーブンだとしても前半の貯金があるから大丈夫だとは思っていたので......12ラウンドのピンチの場面では、「レフェリー、お願いだから止めないで」と思ってました(笑)。

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