武居由樹がボクシング世界王者になる直前に大ピンチ 八重樫東トレーナーは「あんなこと言わなきゃよかった」と反省した (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――ポイントでは上回っていて判定勝ちもできたと思いますが、やはり倒して勝ちたかった?

武居 そこは、元K-1ファイターとしてのこだわりですかね。会場のみんなのために、みたいな部分はあったかなと思います。観客のみなさんに楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいということを、ボクシング転向後もずっと意識しています。

――試合前、武居選手が花道に現れた瞬間、東京ドームが揺れるほどの大歓声が上がりました。

武居 今までに味わったことがない迫力でしたね。「うわぁ、やっぱりすごい!」と。花道を歩いていて......表現が正しいかはわかりませんが、気持ち、よかったです。マロニー選手が強い選手で注目度も高まりましたから、それもよかったなと思います。

――プロ9戦目、強豪のマロニー選手が相手の世界初挑戦。「まだ早いのでは?」という声もあったかもしれませんが、ご自身ではどう感じていましたか?

武居 ちょうどよかったと思います。キックからボクシングに転向した目的は世界チャンピオンになることでしたから、いつでも挑戦する準備はしていました。ただ、K-1で25戦(23勝16KO 2敗)した経験がなければ、今回もビビッていたかもしれません。K-1での経験があってこそ今の自分がある、と思いますね。

――武居選手のほかにも、K-1から他の格闘技へ移って活躍する選手が増えている印象があります。

武居 僕がいた頃のK-1は、みんながスター選手でした。それぞれが個性や独自の色を出していこうという強い思いを抱いていたと思います。マイクパフォーマンスで盛り上げることが苦手だった僕は、「試合で魅せないといけない」と思って戦っていた。そうしないとすぐに"埋もれて"しまいますから。

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