「井上尚弥を年間最優秀選手に選ばなかったらバカに見える」とフルトンも進言 BWAA会長が明かす選出の裏側 (2ページ目)
BWAAのサントリキート会長 photo by 杉浦大介この記事に関連する写真を見る BWAAの年間賞は1938年からスタートし、年間最優秀選手の第1号はジャック・デンプシー(アメリカ)でした。その後、モハメド・アリ、シュガー・レイ・ロビンソン、マイク・タイソン、ジョー・フレイジャー、シュガー・レイ・レナード、フロイド・メイウェザー(すべてアメリカ)、マニー・パッキャオ(フィリピン)といった多くのビッグネームが名を連ねてきましたが、井上もその歴史の一部になったわけです。
過去の偉大なボクサーたちと同じように、井上も殿堂入りに相応しいキャリアを築いてきたことを、私はすでに確信しています。また、井上は人間的な評判もすばらしい。彼と関わったことがある人たちと接しても、悪い話はまったく聞きませんでしたね。
【敗者・フルトンからの伝言】
2023年、井上はハイレベルな2試合を消化しました。前WBC、WBO世界スーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン(アメリカ)は、一般的な認識以上に優れたボクサーです。井上は無敗だったフルトンに勝つだけではなく、完全に支配してしまった。米ペンシルベニア州フィラデルフィア在住の私は、個人的にフルトンと親しくしていますが(フルトンはフィラデルフィア生まれ)、これまで、彼をあのように打ちのめしたボクサーは他に存在しません。
昨年12月には、前WBAスーパー、IBF同級統一王者のマーロン・タパレス(フィリピン)もKOし、2023年を力強く締めくくりました。井上は明らかに特別なボクサー。100人以上いるBWAAのメンバーの投票で井上を年間MVPに選出し、彼にこの賞を授与できることは幸せです。
今年度の年間最優秀選手は、井上と、世界ウェルター級4団体統一王者テレンス・クロフォード(アメリカ)が最有力候補となりました。エロール・スペンスJr.(アメリカ)とのメガファイトで9回KO勝ちを飾ったクロフォードも見事だったのは事実です。
ただ、やはり井上は実績ある王者たちと2試合を行ない、どちらもほぼ完璧なKO勝ちを収めたことが受賞の決め手となったのでしょう。最終的な得票数、得票率などは公表できませんが、井上が飛び抜けた投票数を得たこと、2位以下との差が少なくなかったことは伝えておきたいです。
2 / 3