ケンコバが語る「ハンセンがハンセンじゃなかった試合」全日本のリングで見せた珍しいファイト (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by 平工幸雄/アフロ

【ハンセンの珍しい姿】

――問題の核心とは?

「頑張るダンカン・ジュニアを徹底的にフォローしていたのが、他ならぬハンセンだったんですよ。ダンカンが捕まったら必死にカットしたり、パートナーを支える献身的な姿が目立って、"ブレーキの壊れたダンプカー"のいつもの制御不能なファイトは影をひそめる形になりました。

 俺は、冴えない外国人レスラーがタッグパートナーだった時に、ハンセンがその選手を見捨てて帰ってしまうシーンを何度も見た記憶があります。ピンフォールされていないのに、カウント2が入った時にはすでにブルロープを持って、花道の奥で『ユース!』と叫んでテキサスロングホーンを突き上げて帰る、みたいなこともあったはず。

 だけどこの試合では、冴えないかもしれないけど頑張るダンカン・ジュニアを、見捨てることなく徹底的にフォローした。だからこそ俺には、『俺は、お前たちが知っているハンセンじゃない』という心の叫びが届いたんです」

――ハンセンが献身的な姿を見せるのは、かなり珍しかったんじゃないでしょうか。

「そうなんです。だから、俺は試合を見終わった時に『なんであんなに献身的だったんや?』といろいろ理由を探ったんですが......そうしたら、重大な事実に気がついたんですよ」

(中編:「ハンセンも人の子やったんや」と驚き「ブレーキの壊れたダンプカー」の義理人情>>)

【プロフィール】
ケンドーコバヤシ

お笑い芸人。1972年7月4日生まれ、大阪府大阪市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1992年に大阪NSCに入学。『にけつッ‼』(読売テレビ)、『アメトーーク!』(テレビ朝日)など、多数のテレビ番組に出演。大のプロレス好きとしても知られ、芸名の由来はプロレスラーのケンドー・ナガサキ。

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