井上尚弥の次戦を占う一戦。「イメージが悪い」カシメロは強さを証明できるのか (4ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 2019年6月のフリオ・セハ(メキシコ)戦でのリゴンドーは誰もが驚く打撃戦を展開し、8回TKO勝ち。2020年2月に行なわれた、前戦のリボリオ・ソリス(ベネズエラ)戦では序盤に左をもらってピンチを迎え、2-1と僅差の判定勝ちだった。

 それから約1年半。そのブランクは短くないが、リゴンドー自身は「リングから遠ざかり、ダメージを溜めていないことは(年齢を考えると)プラスに働くと思う」と意に介していない。とはいえ、公には40歳と発表されていても、「実際には何歳なのかは不明(関係者・談)」というリゴンドーの衰えがさらに進んでいた場合、試合はわからなくなる。

 カシメロにとっての勝負はやはり前半。序盤の数ラウンドでその後の趨勢(すうせい)が見えてくるような試合になるのではないか。

 今戦の勝者と井上の統一戦にまで思いを巡らせた場合、リゴンドーとの試合のほうがまとめやすいかもしれない。 現在のカシメロ、リゴンドーは、井上が所属するトップランク社のライバルであるプレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC) と関係が深く、その面での条件は同じ。ただ、カシメロはドネア戦が話題になった際にドーピング絡みで紛糾しただけに、薬物検査の方法を含め、井上との交渉はより難しくなることが予想される。

 ともあれ、冒頭で述べたように、世界的に見てもホットな階級のひとつになりつつあるバンタム級が、4団体統一の方向に動いていることは間違いない。その戦線の歯車が、今週末、再びゴトりリと音を立てて動き始める。
 
 ここで勝ち残り、井上との戦いに大きな一歩を踏み出すのはカシメロか、リゴンドーか。その内容と結果次第で、同階級の戦いがアメリカ国内でさらに大きな話題を呼ぶことになるかもしれない。

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