女子レスラー林下詩美、「ビックダディ三女」と呼ばれる葛藤。「本当の自分は見てもらえない」 (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 女性的な美しさに目覚めたきっかけが、男性だったというのが興味深い。今の林下には、性別を超えた美しさ、カッコよさがある。"自分らしさ"を見つけたということだろう。

 筆者が「綺麗にネイルをされてますよね」と言うと、照れながら美容について話してくれた。

「昔から男勝りなので、自分がネイルなんてするとは思わなかったんですけど。今はまつエクもしていて、やっぱり爪先とかまつ毛にこだわると、キレイさが全然違う。そういうのもコスチュームの一部だと思っています。季節に合わせたネイルとか、痛ネイルとかをしている選手もいますけど、私は基本的にコスチュームに合わせたネイルをしてますね」

 ああ、ようやく笑顔を見せてくれた......。リング上では、強くてカッコいい姿しか見せない。インタビュー中も、そういった自分でいなければいけないと感じていたのかもしれない。しかしネイルやまつエクについて楽しそうに話す姿を見ていたら、彼女はまだ22歳の女の子なんだと思った。

 クールでカッコいいのも素敵だが、頬を紅潮させ、表情豊かに話す彼女はもっと素敵だと思った。そして「プロレスラー林下詩美」の本当の強さは、実はまだ表に出ていないのではないかと思った。

(後編に続く>>)
【プロフィール】
■林下詩美(はやしした・うたみ)
1998年9月14日、静岡県湖西市生まれ。166cm、65kg。テレビ朝日系ドキュメンタリー番組『痛快!ビッグダディ』に、ビッグダディ三女として出演。高校卒業後、飲食の仕事をしながら妹たちの学費を払い終えたのち、スターダムに入門。2018年8月12日、後楽園ホールでデビュー。同年9月に「5★STAR GP」準優勝、11月に「ゴッデス・オブ・スターダム王座」を戴冠し、2018年度プロレス大賞新人賞を受賞。翌年以降も数々のタイトルを戴冠。2020年11月、岩谷麻優を破り「ワールド・オブ・スターダム王座」のベルトを巻いた。現在、V4。Twitter:@utami0914

【大会情報】

『TOKYO DREAM CINDERELLA 2021 Edition』

◆日程:2021年6月12日(土)

[5/19発売]TOKYO DREAM CINDERELLA 2021 Special Edition/東京・大田区総合体育館 – スターダム✪STARDOM (wwr-stardom.com)

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