バレエとアイドルで感じた絶望。女子レスラー中野たむは劣等感と闘い続けた (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

「私、岩谷麻優とタッグを組んでいた時期があって、すごく尊敬している選手だったんですね。でも岩谷と同期だった星輝が7年ぶりにぽっと復帰して、『麻優ちゃんとタッグ組みま~す』みたいなノリで、タッグ組んじゃったんですよ。......ふざけんなよと。私がどんな思いで岩谷麻優の隣に立ちたいと願ってきたと思ってんの?って。Twitterで星輝の画像を白く塗りつぶして嫌がらせとかして、炎上しました。ファンの方に『子どもすぎる』『それは選手としてよくない』って言われたけど、うるせーよと思って。それどころじゃねーんだよって」

 しかしその結果、星輝は中野にとって、自分のすべてをさらけ出せる相手になった。タッグを組み、2019年10月から開幕した「第9回GODDESS OF STARDOM・タッグリーグ戦」で優勝を果たした。こんな素敵な仲間と出会えたことに心から感謝した。

 そんな星輝が翌年5月、引退を発表する。

「もうムリ!って思いました。本当にやめようと思った。彼女とベルトを巻くという夢が私の中ですごく大きくて、今でも夢に出てくるくらい。彼女がやめて、私も本当にプロレスやめようかなと思っていた時に現れたのが、ジュリアだったんです」

(後編に続く>>)

【プロフィール】
■中野たむ(なかの・たむ)
年齢非公開。3月22日、愛知県生まれ。157cm、56kg。3歳からバレエを習い、高校卒業後はミュージカルの専門学校に進学。アイドルユニットでの活動を経て、「アクトレスガールズ」の練習生となる。2016年7月、プロレスデビュー。全日本プロレス、FMWに参戦し、2017年11月、スターダム入団。2020年10月、白川未奈、ウナギ・サヤカとともに「コズミック・エンジェルズ」を結成し、アーティスト・オブ・スターダム王座を奪取。2021年3月3日、日本武道館大会にてワンダー・オブ・スターダム王座を戴冠した。Twitter:@tmtmtmx

【大会情報】
★中野たむ選手も登場! スターダム春のビッグマッチ
『U-REALM Presents YOKOHAMA DREAM CINDERELLA 2021 in Spring』
日程:2021年4月4日(日) 会場:神奈川・横浜武道館

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