白川未奈が感じる日本文化の生きづらさ。レスラーにも奥ゆかしさを求められる? (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 スターダムに来て、「日本の女子プロレスはすごくレベルが高い」と、今まで以上に思ったという。日本の女子プロレスをもっと世界に発信したい。自分はグラドルレスラーとしてそれに貢献したい。

「グラビアアイドルって、日本の超独特な文化なんですよ。海外に遠征に行くと、『グラビアアイドルってなに?』ってめちゃくちゃ聞かれる。『ビキニモデル』って言うと海外の方はスポーティーでカッコいい感じを想像するけど、グラビアアイドルってちょっと違うんですよね。じめっとしていて、湿っぽいんです。でもみんな頑張っていて、日本人特有のキレイさとかもあるので、日本独特のグラビア文化を海外に伝えたいとアイドル時代から思っていたんです。グラビア文化も女子プロレスも、すべて世界に向けて発信したい」

 子どもの頃から、死を意識しながら生きているという白川。

「人生で100%決まっていることって、死ぬということだけじゃないですか。だからそれは常に意識していて。ある日パタッと死んだ時に、悔しいという思いが残らないように、一日一日、最大限やれることをやろうと思っています。疲れて寝ちゃったりとか、全然できない時もありますけど。死を恐れているんじゃなくて、ポジティブに意識してます」

 この連載では、最後に「強さとはなにか?」という質問をレスラーにぶつけている。白川にも聞くと、「自分を信じることです」と短い言葉が返ってきた。「もうちょっと説明したほうがいいですか?」と聞かれたが、説明はいらないように思えた。白川未奈は紛れもなく強い。それは自分を信じているから。インタビュー中、表情豊かに、身振り手振り大きく、目をそらさず話す白川を見ていたら、そう思えて仕方なかった。

 白川が指名した次の"最強レスラー"は、中野たむ。

「メンタルが強いです。弱そうに見えるんですけど、プロレスに関しては相当強い。昨日もビンタで顔が腫れあがってホント不細工になっちゃってて。『かわいい?』って聞かれたので、『不細工です!』って即答しました。普段は本当に優しくて、自分の考えを人に合わせて曲げちゃうタイプ。プロレスをやっている瞬間、たぶん人が変わるんです」

 ジュリアとの敗者髪切りマッチに勝利した時、中野は泣いた。「なんでお前が泣くんだよ」とジュリアに苦笑されながら、中野はリングを下りるまで泣き続けた。彼女はどのような思いで、丸刈りにされていくジュリアを見ていたのだろうか。

「次回は中野たむ選手のテーマカラー、紫色のネイルにしようかなぁ」と胸を時めかせながら、私たちは取材場所をあとにした。

(中野たむインタビューにつづく)

【プロフィール】
■白川未奈(しらかわ・みな)
1987年12月26日、東京都生まれ。156cm、54kg。大学を卒業後にブライダル会社に就職するも、25歳でグラビアアイドルデビュー。2015年10月、「プロレスTIME」公認『プ女子普及委員会』委員長に就任。2018年8月、ベストボディ・ジャパンプロレス旗揚げ戦にてプロレスデビュー。同年11月より東京女子プロレスに参戦し、2020年10月にスターダムレギュラー参戦を表明。中野たむ、ウナギ・サヤカと結成したユニット「コズミック・エンジェルズ」が同年12月、アーティスト・オブ・スターダム王座を戴冠した。Twitter:@MinaShirakawa

【大会情報】
★白川未奈選手も登場! スターダム春のビッグマッチ
『U-REALM Presents YOKOHAMA DREAM CINDERELLA 2021 in Spring』
日程:2021年4月4日(日) 会場:神奈川・横浜武道館
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