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白川未奈が感じる日本文化の生きづらさ。レスラーにも奥ゆかしさを求められる? (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

「3.3スターダム日本武道館大会」のメインイベントは、"敗者髪切りマッチ"が行なわれた。白川が所属するユニット「コズミック・エンジェルズ」のメンバーである中野たむが、ジュリアが持つワンダー・オブ・スターダム王座の"白いベルト"に挑戦。激闘の末、中野が勝者となり、敗者となったジュリアはリング上で髪をバリカンで刈られた。涙を流すふたり......。客席のあちこちから、すすり泣きが聞こえてきた。

「ファンみたいな気持ちで観ていました。涙が止まらなくなってしまった。たむさんと出会って数カ月ですが、ずっと白いベルトを取れそうで取れないというのを知っていたから、大きな舞台のメインでやっと取れたっていうのが私も嬉しかった。髪切りマッチは賛否両論ありましたが、私としては何が悪いかがわからなかったです。本人たちがやるって決めたんだから、正直、ジュリアもたむさんもカッコいいと思いました」

 ジュリアが中野に「髪を懸けてやろう」と言った。同じ女子レスラーとして、女の命である髪を懸けるという心理はわかるのだろうか。

「わかりますね。リングに上がるのって、みんな本当に怖いと思うんですよ。一歩間違ったら大ケガしちゃう。私も鼻がぐちゃぐちゃになって『最悪!』と思いました。キラキラしている世界に見えるけど、みんなが想像できないくらいの覚悟を決めて闘っている。それくらいすべてを懸けてやりたいことがあるって幸せじゃないですか。人生を懸けて、めちゃくちゃ熱量を持ってやれることをたくさんの人が見つけられたら、もっと平和な世界になるのになあ、といつも思います」

 中野とは昨年10月、スターダムに参戦して間もなくシングルマッチを行なった。惜しくも敗れてしまったが、試合後のマイクで白川はこんなことを言った。「闘魂Hカップグラドルから、本物のグラドルレスラーになるためにスターダムに来ました」――。

「闘魂Hカップグラドルって、結局グラドルなんです。グラドルがプロレスを頑張っているというニュアンス。ちゃんとレスラーとして周りから認めてもらえるようになりたい、絶対になる、という気持ちを込めて、『本物のグラドルレスラー』と言いました。やっぱりグラドルレスラーの発祥はスターダムだから、ここに来たっていう感じでしたね」

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