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佐藤慎太郎が描く引き際の美学「弱くなる自分も見せたい」 50代の競輪人生に影響を与える伏見俊昭の死にも言及

  • text by Sportiva

今年11月に50歳を迎える佐藤慎太郎 photo by Sunao Noto(a presto)今年11月に50歳を迎える佐藤慎太郎 photo by Sunao Noto(a presto)この記事に関連する写真を見る佐藤慎太郎 インタビュー 後編

【「限界?気のせいだよ!」】

 49歳の今でもS級1班として第一線で活躍する佐藤慎太郎(福島・78期)。輝かしい実績と驚異的な肉体を誇る佐藤だが、ここまで紆余曲折の競輪人生を歩んできた。2003年から4年連続で最高峰のレース「KEIRINグランプリ」に出場したが、その後はかつてのような輝きを放つことができない時期が続いた。

 そんななかで感じたのが、競輪のすばらしさであり、それとともに芽生えたのが、再チャレンジの意欲だった。

「最初のピークの時(2003~2007年)には上位にいるのが当たり前で、取材もしてもらえたり、ファンの人から声をかけてもらったりしていましたけど、ケガをして弱くなっていくと、それがさっとなくなりました。それはやっぱり寂しいですよ。それで上位で走っていた時が楽しかったのも再確認できたし、そこにまた戻りたいという気持ちになりました」

 自他ともに認める"練習の鬼"である佐藤は「40歳の手前にもう一段階気持ちを入れ直し」、それまでの「気合と根性」を前面に出したトレーニングにプラスして、「科学的で理論的なもの」を積極的に取り入れていった。2015年のギア規制(ギヤ倍数が4.00倍未満となる)もあって大ギアブームが落ち着くと、2018年後半頃から再び成績が上向き始めた。

 そして2019年の年末、13年ぶりにKEIRINグランプリに出場すると、5度目の挑戦にしてついに優勝を手にし、競輪界の頂点に立った。その時、佐藤は43歳。2011年に優勝した山口幸二(岐阜・62期/2012年引退)の43歳5カ月に次ぐ、歴代2位となる43歳1カ月での高齢優勝記録だった。優勝インタビューでは「あきめずにやってきてよかった。泣きそうです」とこぼれそうな涙を満面の笑みで隠した。

 佐藤はそこから5年連続でKEIRINグランプリに出場。トップ9のS級S班として堂々たる走りを見せた。自身曰く「二度目のピーク」は、2000年代の一度目のピークとは違った感覚があった。

「『俺が一番強いことを見せつけたい』という最初のピークよりは、ラクな気持ちだったかもしれないです。上位にいる時間をしっかり楽しみたいという気持ちがありました。誰もが経験できることではないですから」

 この頃から再び佐藤の人気は過熱。専門サイトでの連載コラムも始まり、SNSを通じて競輪への思いや魅力、日々の練習などを自身の言葉で積極的に発信し始めた。2021年頃から使い始めた決め台詞「限界?気のせいだよ!」も同名タイトルで自著として発行し、同フレーズのTシャツも販売すると、ファンの認知はさらに拡大。時には佐藤の姿を見つけたファンが「限界?」と叫ぶことがあり、それに対して「気のせいだよ!」と拳を振り上げて応えることもあった。

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