佐藤慎太郎が描く引き際の美学「弱くなる自分も見せたい」 50代の競輪人生に影響を与える伏見俊昭の死にも言及 (4ページ目)
【弱くなりたくなかった40代】
50歳目前になった今、佐藤は頂点を極めた40代をこう振り返る。
「一言で言えば、弱くなりたくないと思い続けた10年間だったかもしれないです。グランプリを獲る頃までは、自分が信じてきた練習しかやってこなかったんですけど、新しいものをどんどん取り入れて、43歳でグランプリを獲得できたので、そこまでは成長していくような感覚はありました。それ以降は、弱くなりたくなくて、ひたすら練習していた感じですね」
弱くなりたくないと、日々努力を重ねてきた佐藤だが、「限界?気のせいだよ!」と言い続けてきた彼も、少しずつ心境の変化を感じ始めている。
「『俺はできる』と言っていても、俯瞰して自分を見た時に、力が落ちているのに、そんな言葉を発していたら、ただの裸の王様ですよね。今は自分がどういう状況にあるのかをしっかりと見なくちゃいけない時に来ているということです。限界を超えるまで練習をしていても成績が伴わない、脚力が上がらない、周りのレベルがそれ以上に上がっている状況では、『今この状況だよ、慎太郎君。お前もう限界でしょ』という気にさせられる時があります」
そして今、引き際についても考えを巡らせるようになった。それは「自分はこうしたい」という思いよりも、応援してくれるファンを意識した思いだった。
「強いまま辞めていったら、できたことができなくなった自分を見なくてすむので、たぶんラクですよね。でも、できることができなくなっていく経験もしてみたいなという気持ちもあります。それはすごく悔しいんですよ。でも、できなくなるスピードを少しでも遅らせるために日々を過ごしていくことも楽しいと思うんです。自分の美学としては、俺はファンと共に歩んでいると思っているので、弱くなって思いどおりの走りができなくなった佐藤慎太郎のことも、しっかり応援してもらいたいなと、その姿も見せてあげたいなと思っています」
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