「桜庭和志って誰?」から一躍人気者へ。
PRIDEはそのキャラを売りにした (2ページ目)
すると、社長の反応は「桜庭って誰?」だった。過去何冊かプロレスの本を出版したことのある出版社の社長でもわからない、当時の桜庭の知名度は正直、それくらいだった。
しかし、PRIDE人気はジワジワと高まってきていたし、桜庭のキャラクターはむしろ、桜庭のことをよく知らない人にこそ響く。当時、桜庭を初めて見た人は、たいてい「こんな普通のお兄ちゃんみたいな人が強いの?」みたいに思ったのではないだろうか。
だからこそ、この桜庭という人物がどういう人生を歩んできたのか、普段どんなことを考えているのかに読者は興味が沸くと考えた。こんな普通のお兄ちゃんみたいな人があのホイス・グレイシーに勝つようなことになったら、まさに痛快ではないか。
そういう"期待値"込みの企画に社長からGOサインをもらった私は、当時桜庭が所属する高田道場にこの話を持っていった。さすがに、すでにそういった話は大手を含めたいくつかの出版社から来ていたが、すべては「ホイス戦後の発売」を想定したものだった。
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