伝説の「グレイシーハンター」誕生20年。みんな桜庭和志の虜になった (4ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 ホイラーは試合後「あの技は極まっていなかった。俺はギブアップしていない」と抗議していたが、桜庭はそんなものはお構いなし。マイクアピールで観客の喝采を浴び、その場を締めてしまうというのは、何ともプロレスラーらしいではないか。

 私はこのあたりから、桜庭和志という選手が俄然、気になり出していた。

 その優しそうな顔つき、飄々とした佇まいからは、失礼ながらとても強そうには見えない。だが、実際リングに上がると、すこぶる強い。しかも、緊張感が半端ないバーリトゥードの試合で、フットスタンプやモンゴリアンチョップをやってしまうのだから、何とも痛快だ。

 ファイトスタイルもそうだが、桜庭は常に"お客さんが何を求めているのか"を意識している。

 マイクアピールも「勝ててよかったです」とか「次もがんばります」で終わるのではなく、お客さんがワーッと盛り上がれたり、「次もまた見たい!」と思ってもらえるようなキラーワードが言えたりするのは、桜庭の才能であり、プロレスラーだということが大きい。

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