【ボクシング】西岡利晃、ラストダンス。敗者がリングに残したもの (4ページ目)
西岡がリングを降りた後、美帆さんに、伝えた言葉を聞いた。
「一生懸命がんばったね。カッコよかったよ」
西岡もドネアも去ったリングを、名城が見つめていた。
「すべてを出し切れたか? それは本人しかわからない。ただ、出せたとしても、出せなかったとしても、確実に言えるのは、素晴らしい勝負を見せてもらったということ」
徳山は言った。
「作戦もあるだろうけど、手を出さなければ始まらないのがボクシング。中盤、もう少し手が出せていれば……」
ふたりの元世界王者は、そう語った。そして奇しくも、ともに似た言葉を続けた。
「これだけの試合が成立したことに感動を覚える。多くの人に夢を与えたと思います」(名城)
「これだけの舞台に立ったことが、多くのボクサーに、そしてこれからボクシングを志す人に、夢や勇気を与えたはず」(徳山)
『スピードキング』西岡利晃、カリフォルニアの夜に散る――。西岡はすべてを失い、ドネアはすべてを得た。
ただ敗者であっても、ボクシングファンに、そして、その背中を追いかける日本人ボクサーたちに、与えたものは小さくはない。
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