2012.10.15

【ボクシング】西岡利晃、ラストダンス。敗者がリングに残したもの

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

終盤、壮絶な打ち合いを演じた西岡利晃(左)とノニト・ドネア(右)「ウィナー・テイク・オール」

 敗者はすべてを失い、勝者がすべてを手にする――。

 10月13日、アメリカ・カリフォルニア州カーソン、ホーム・デポ・センターで行なわれたWBCダイヤモンド・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦。WBC名誉王者の西岡利晃は、世界4階級制覇王者、WBO同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に9ラウンド1分54秒、右ストレートを浴びてダウンし、立ち上がったもののセコンドが試合を止めてTKO負けを喫した。

 試合後、西岡は「今は悔しさしかない」と語るも、こう続けた。

「やれるだけのことはやった」

 また、西岡が所属する帝拳ジムの本田明彦会長は、「これで終わりでいい」と引退を示唆。「それだけかけてやってきたわけだから。もう、36歳だからね。本人も(現役続行を)希望しないよ。分かっているよ。勝っても辞めていたんじゃないのかな」。

 西岡は、昨年からドネアとの対戦を切望し続けた。

「ドネア戦勝利、おめでとう!」

 そう言って、西岡が友人と乾杯したのは、試合前のこと。厳密に記すなら、ドネア戦が決定する前のことだった。友人の名は竹田津(たけたず)孝。キャリア初期の長谷川穂積に判定勝ちしたこともある、元プロボクサーだ。西岡が日本チャンピオン時代、スパーリング相手を務めて以来の仲。会場に駆けつけた竹田津は言う。

「試合が決まるずっと前から、ドネアのことを話していました。そして今日、本当にドネアと戦う。体調、かなりいいらしいです。試合前、ほぼ毎日電話で話しました。声がドンドン元気になっていくんです。普通、ボクサーは減量が始まれば声が出づらくなっていくもの。体調が、本当にいいんだなって」